
障害年金「不支給者」数が過去最多に
2024年度、障害年金の申請で「不支給」と判定された人が約3万人にのぼり、前年度の2倍以上に急増したことが明らかになりました。
これは、日本年金機構が統計を取り始めた2019年度以降で最多。
審査を受けた人のおよそ6人に1人が不支給となる、厳しい結果となっています。
この数字の背景には、審査基準そのものが変更されたわけではなく、運用の厳格化が影響していると見られています。
2023年10月に障害年金センターのトップが交代し、その後、書類審査がより厳しく行われるようになったと言われています。
なぜ審査が厳しくなったのか?
新たに着任した幹部が、直接的に「厳しくしろ」と指示を出したわけではないとされています。
しかし、現場の職員たちが、判定医に対して「より低い等級」「等級非該当」を提案するケースが増えたとの証言もあり、実質的に運用が変わったとみる声が多いのです。
とくに、精神障害や発達障害の分野では、不支給割合が前年の2倍に跳ね上がっています。
これまでなら受給できたかもしれない人たちが、審査の厳格化によって支援を受けられなくなった現実があるのです。
審査の透明性と公平性が問われる
障害年金の審査は、基本的に申請書類と診断書をもとに、職員と委託医師が最終判断を下します。
しかし、制度の運用は属人的な要素が強く、担当者によって結果が左右されることも指摘されています。
特に今回のように、幹部の交代によって審査の空気が変わるという事態は、
受給希望者にとって極めて不安定なものに映るでしょう。
誰もが安心して申請できるはずの制度が、「人によって判断が違う」という印象を与えてしまえば、
本来守るべき人たちを逆に追い詰めることにもなりかねません。
日常生活にもつながる不安
障害年金の支給は、生活の安定に直結しています。
特に精神障害や発達障害を抱える方やその家族にとって、年金が受け取れるかどうかは死活問題です。
書類の不備や診断書の表現次第で結果が左右されるとなれば、
「本当に困っている人たちが適切な支援を受けられないのでは」と心配になるのも当然です。
こうしたニュースを知ると、日々の生活の中でも「制度を信じて頼れるのか」という不安がじわじわと広がります。
身近に障害を持つ家族や知人がいる人にとっては、なおさら深刻な問題です。
これから求められるものは?
今回の問題を通して、改めて感じるのは、
審査の透明性と公平性の確保が強く求められているということです。
- どんな基準で判断しているのかを明確にする
- できるだけ属人的な裁量を排除する
- 受給希望者が安心して申請できる仕組みを作る
これらを丁寧に進めていかなければ、制度そのものへの信頼が失われてしまうでしょう。
また、申請する側も、
- 必要な書類をきちんと整える
- 疑問点があれば早めに相談する
など、より慎重な準備が求められそうです。
まとめ:支援が必要な人に確実に届く制度であってほしい
障害年金の「不支給」急増という今回のニュースは、
社会全体で考えるべき大きな課題を浮き彫りにしました。
生活に困っている人たちに支援が確実に届くこと。
そのためには、運用する側も申請する側も、お互いにわかりやすく、信頼できる仕組みを作り上げていく必要があります。
一人ひとりの生活に直結する問題だからこそ、今後の対応をしっかり注視していきたいですね。
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